オリンピックのマラソンが札幌で開催されるという話が進んでいますが、そもそもなぜ札幌じゃなきゃいけないの?なんで日程を変えて秋にできないの?というわけで調べてみました。
- なぜ札幌?
- 北海道マラソン
- なぜ秋にできないの?
- 問題点
なぜ札幌?
小池知事が、そんなに涼しいところというのであれば、北方領土でやったらどうかと発言したみたいですが、確かに、なぜ札幌なのでしょう。
その理由は、札幌には、日本では数少ない夏に行われる「北海道マラソン」という実績があるから。
そもそも、開催場所が変更となったのは、9月末にカタールのドーハで行われた陸上選手権で、酷暑を避けるために深夜のスタートとしたにも関わらず、気温が30度を超え、湿度も70%以上となって、女子マラソンでは4割を超える選手が途中で棄権する異常事態が発生したことを受けてのこと。「これは大変!来年の夏、東京でも同じことが起こるのではないか?!」と関係者が真っ青になるには充分な出来事でした。
そこで、IOCとしても、オリンピック開催まで10か月を切ったこの段階で慌てて会場を変更するにあたり、実績のない場所での開催は無理との判断が働き、「北海道マラソン」という、長年に渡って日本の夏のマラソンの実績がある都市、札幌に白羽の矢が当たったのではないでしょうか。
北海道マラソン
暑い日本の夏にマラソン大会を開催するのは厳しい。そんな中にあって、北海道マラソンは今年の8月には、第33回を迎え、約2万人が参加しました。
札幌の7、8月の平均気温は21~22度と、東京の24~28に比べると3~6度も低く、コース内には木陰もたくさんあって、選手の健康状態を考えると、確かに条件は良いようです。発着地は大通り公園。
でも、もし札幌での開催が決まった場合、大通り公園には数万人規模の観客を収容できるスペースはないため、発着地は、最大収容5万3820人の札幌ドームになる可能性が高いようです。
北海道マラソンの公式ページはこちら。
なぜ秋にできないの?
では、なんで夏じゃなくて、もっと涼しい秋にできないのでしょうか。
その理由はズバリ放送権料収入確保のため。
テレビ放送料はIOCの主要な収入源とも言われていて、もし9月や10月にオリンピック開催となると、その時期はアメリカでは、アメリカンフットボール(NFL)の開幕や野球の大リーグ(MLB)のプレイオフ、欧米ではサッカーが佳境を迎えているため、欧米の放送局はかき入れ時で、オリンピックどころではない。
そこで、どうしても、他に競合がいなくて視聴率が集まりそうな夏が選ばれるとう仕組みのようです。やはり、背後にお金が絡んでいるのですね。
問題点
まずは、チケット問題。東京マラソンのチケットを購入している場合、ほぼ払い戻しになると思われますが、お金が戻ってくれば良いという問題ではなく、折角手に入れたチケットが無駄になるわけですから、憤懣やるかたないですよね。
チケットだけではなく、例えば海外から参加する選手の家族が、すでにフライトや東京のホテルの予約をしてしまっているとすると、今から変更することができなければ、かなりな金銭的な負担になります。
また、東京都もこれまで暑さ対策として、赤外線を反射する遮熱材や、浸み込んだ雨水が蒸発するときの気化熱によって路面の温度を下げる保水材を道路に舗装するなどしてきているので、その費用も全て無駄になるわけです。
そして何と言っても、これまで本番コースを東京に設定して必死で練習をしてきた選手たちの衝撃は計り知れないでしょう。
いきなり開催場所に指定された札幌でも、マラソンのための沿道警備や医療機関の受け入れ態勢なども、これから短期間で固めていかなければならないず、果たして間に合うのか、といった不安の声が聞こえているようです。
まとめ
「選手の健康が第一」というのが前面に押し出された、今回のIOCによるマラソン会場変更の決定。
でも、それには時期を変えずに、何としてでも夏にオリンピックを行わなくてはいけないという裏事情も見え隠れ。
それがIOCが主張するように、本当に選手のことを考えたうえでの決断なのか、という疑問はどうしても残ります。